今日、仕事上、たまたま英和辞書を使うことがありました。
すると、そこで、「velvet divorce」というのを見つけました。
velvetは「ビロード」という生地のこと、
divorceは「離婚」という意味です。
すなわち「ビロード離婚」。辞書の意味にもそう書いてました。
「ビロード離婚?どんな離婚の仕方なんだろうか?
アメリカやヨーロッパなんかでは、
日本じゃ考えられない離婚の方法をしているのか?」
なんて思った人もいるかもしれません。
実際、自分もそう思いました。
いえいえ、これは夫婦間の「離婚」を意味しているのでは
ありません。
これは歴史用語なんです。
その辞書にも注釈がありましたが、
これは昔のチェコスロバキアという東ヨーロッパの国で
起こった歴史的事件を言うんだそうです。
「ビロード離婚」を理解するには、
まず、「ビロード革命」(velvet revolution)を理解しないと
いけないでしょう。
これもその英和辞書に載っていたんですが、
これはチェコスロバキアで1989年に起こった革命を指します。
チェコスロバキアでは、第二次世界大戦後、
共産党の一党独裁体制が敷かれていました。
その共産党独裁体制を倒し、民主化に成功した革命なんですね。
とてもいい革命なんですが、高校で世界史を勉強したことがある人は
「革命」と聞くと、一般民衆の人が体制を変える運動をし、
それが政府から弾圧されて、たくさんの死傷者を出すイメージを
持つかもしれません。
ところが、この革命では、大きな衝突や流血に至ることがなく、
すんなりと民主化になっていったんですね。
まるでビロードのように、なめらかに革命が進んだということで
「ビロード革命」と名づけられたわけです。
さて、そんなふうに民主化が成功したのはいいのですが、
もともとチェコスロバキアは、チェコ人とスロバキア人の国でした。
民主化した後、チェコ人とスロバキア人との間で
今後の国づくりについて意見が食い違うようになりました。
そこで、話し合いの結果、今のように、
チェコとスロバキアという2つの国に別れることになったのです。
この2つの国の分離も、一滴の血を流すことなく、
平和にすんなりと決まったことから、
「ビロード離婚」と呼ばれたわけです。
辞書をひくってたまにはいいですね。
こんな雑学が身につくだなんて思ってもみませんでした。
Macshopスタッフによる雑学講座でした。